東北地方治水大会 河川フォーラム テーマ”川のある風景”
意見発表文
「川は生きている」
〜川と人間がともに共生していく地域作りを願って〜

小 田 美恵子 

本日のフォーラムに、参加する機会を得ましたこと、心から有難く思います。
パネリストの皆様がすべて女性であるという共通性はもちろんですが、さらに独自の視点を大切にしながら、臨ませていただこうと思います。
川について論を進める前に、私が川や水に対する認識を啓発させられた事柄について、少し話させていただきます。

1.川思考の周辺

  1. ある研修会に参加する機会がありました。その会もまた女性だけの会でありました。講師の方が「みなさんは政治に関心がございますか?」と問われました。
    皆それぞれ「あまり…」という反応を示した時、さらに講師の方が「政治は私達の生活の諸問題を解決する場なんですよ。例えば味噌汁200ccを川に流した場合、魚が住めるまでに回復するには、お風呂3.5杯分、同じくおでんの汁500ccでは25杯分、さらに油500ccでは、330杯分必要です。さらに大切な水の水質を損なう一番手は家庭雑廃水です。台所からの出来事がひいては国の環境法案にまでつながっていくのです。」と言われました。
    この話が私の心の中で強烈な印象となり今も心にあります。
    その後水源函養地の取得について市議の時に、一般質問することがあり、貯水池を数回訪れたことがあります。水源函養地を単に牧草地にしておくだけでなく、水の大切さ、森の大切さ、緑の大切さを知る啓蒙教育の一環として親子植樹や貯水池見学ツアー等の計画を話したものでした。
     
  2. 私は秋田県の南、象潟町で生まれましたが、この地は夏の海水浴シーズンにとてもおいしい、そして大きな岩ガキがとれるところです。
     そのおいしさは尋常ではなく、その原因は象潟川や白雪川が海に注ぎ込み、日本海の海水とぶつかることで、育成されると言われます。鳥海山の雪解け水が流れ下る、森の豊かさの証明というべき産物と思います。 カキを食するたびに本当に自然の恵みだと思わされます。
     
  3. 市議の一期四年の任期中に芋川が二度氾濫しました。
    川は海のようになり、芋川と子吉川がぶつかり合う河口では白い飛沫を上げて、二つの流れがせめぎ合っていました。豊かさと恵みを沿岸にもたらすやさしい川は、荒れ狂う破壊の川となっていました。しかも平成2年度からだけでも毎年のように、その被害の強弱はあっても災害を起こしてきていた川でした。起きるには起きる為のメカニズムがあると思われます。一転して見知らぬ町に訪れたようなあたりの景色の変貌に私達はどう川と向き合っていくべきかと考えさせられました。
    現在この川の整備が着々と進められていることを心から喜びたいと思います。
    多くの方々の努力が声として実った結果であると思います。
     
  4. そして最近のことでしたが、秋田空港から東京へ行く機会がありました。
    小春日和のこんな素晴らしい天気は二度とないと思われる位の秋の好天でした。午後の東京行きの一番機が離陸を始め、日本海に機首を向けた時ふと眼下に目をやり、左翼の下に広がる風景に私は息をのみました。
    キラキラと光りゆったり、力強く横たわる一本の川、秋田を代表する雄物川です。澄み切った空気、緑の森や林の風景の中にあるべきしてあるという存在感。人も川も森もみなともに生きていると思いました。この国土に支えられ、私達は秋田に生きているのだなという、強い感激を覚えました。

      次に現状にふれてみたいと思います。
2.現状把握
 まず、秋田県全体を男鹿半島をチョッと突き出させた長方形と想像されてみて下さい。そして右隅に十和田湖、男鹿半島の後に八郎潟、二つ折りした右端近くに田沢湖を置く。次に全体を三等分位にして日本海沿岸沿いに能代市を中心に米代川、秋田市を中心に雄物川、本荘市を中心に子吉川を一本引っぱると秋田の川の骨格が見えてくると思います。その支流に多くの河川があります。
 数字で示せば秋田の河川の状況は
一級河川297本【改修率46.3%】 二級河川51本【改修率25.4%】 計348本【改修率42.4%】であるという。
 そして近年は、単に川対策が「治水」「利水」というだけでなく平成9年度〜15年度を期間とする県発展計画及び、国の第9次治水事業7ヵ年計画でも「環境にやさしく、災害に強い川づくり」が方向付けられるようになりました。
 県土の7割以上が森林である我が県だからこそ、もっともっと川の有効利用、生かし方を考える余地はあると私は思います。
 水力発電や観光、レクリェーションゾーン等をも含めて。
 
3.今後の方向性
河川事業や川と共生するための意見
 川は生命の源であると言われます。
 歴史をひもといても、大きな川の流域に文明が開らけ、近くはわたしたちの秋田県にあっても、白滝川の神輿の滝浴び、長木川精霊流し、能代七夕ねぶた流し、川渡り梵天、そしてあちこちで夏に開かれる、川辺の花火大会と私達は川に親しみ、川により大きな恵みを受け、そしてまた大きな災いを受けながら、今日もあります。
 私は川も、私達と同様に生きていると思います。故に自らの浄化能力や抑制能力を失わせてはいけないと思います。宅地開発により土地が保水力がなくなり溢れる水を飲みこめるか否かも検討されなければならないと思います。現在大いに見直されてきていますが、川を単に水路にする整備は決して行ってはいけないと思います。人間にもそれぞれの個性があるように、川もそれぞれの置かれている状況を背負っていると思います。それ故におしなべて自然に帰れ、というだけではすまない部分もあると思います。大都会にある川はそこにある機能との調和も考え合せなければならないこともあると思います。
 従って整備に関しては、地域の声を十分に反映させていただきたい。現地を知りえる人の声を大切にしてもらいたいと思います。例えば檜木内、柴内、毛馬内の内は大河川の支流沿いか枝流と一致しているとも言われます。
 地名にはその地の歴史が刻み込まれています。地名変更等については慎重であっていただきたいとも思います。川の声を聞きながら整備をし、川と人間がともに共生していく、地域作りを願いたいと思います。
 本日のフォーラムが川も人間も共に生きているということ、さらにそのことの具現化を目指していくことの、意志の確認の場になることを期待します。